機先の理法
「機先の理法」とは、自他の距離的(空間的)な「間合い」を了解した上で、さらに時間的に優位になるように、いかに攻撃するかの理法である。
機先の原則には、「三つの先」がある。
先ず一つ目の「先」は、相手が攻撃を仕掛けるより早く、自己の攻撃を仕掛けることである。これを「先(の攻撃)」という。「仕掛けの先」とも呼ぶ。
二つ目の「先」は、相手の攻撃にいち早く察して、それに応じて攻撃をすることだ。これを「後の先(の攻撃)」という。これを「応じ」と呼ぶ。また、我が空手では、相手の攻撃に合わせて攻撃する方法を「合撃(あいげき)」として、高度な「応じ」とする。
三つ目の「先」は、相手の攻撃を飲み込むかのように相手の攻撃を読み取り、それに応じることである。これを「先々の先」と呼ぶ。ただし、これは実際の攻撃というようり、相手の攻める気を飲み込んでしまうようなことなので、相手の出方に対応するというようなものではない。
「先々の先」の目指すことは、無念無想の一撃、かつ心撃である。