増田式空手メソッドにおける「5つの観点(OFPHM)」について

以下の「OFPHM(オフファム」は、審査時のみならず、黒帯の稽古時に念頭に置かなければならない観点です。

審査では5つの観点から審査されます。

5つの観点(OFPHM)
1)「着眼(OBSERVATION)」
2)「運足(FOOTWORK)」
3)「姿勢・構え(POSTURE)」
4)「調和(HARMONY)」
5)「動き(MOTION)」

解説

 1)着眼(OBSERVATION)」「着眼」とは、どのように対象を見ているかです。武道の先達は、「見の目弱く、観の目強く」と伝えました。「観の目」とは対象を大きく、全体的に見据えることです。空手の稽古においても、まずは、先生の動きのみならず自己の動きを全体的に大きく捉え、その後、細かい点に気を配るのが良いと思います。もちろん細かい部分から全体を捉えていく人もいるかもしれません。もちろん、最終的には細部まで気を配らなければならないのですから、はじめに細かい点に目が行くことは悪いことではないかもしれません。あくまで一般的に、全体の把握から始めた方が良いということです。また、組手の稽古においては、相手の動きを全体的に捉えることで、その起こりを素早く察知できる可能性が高まります。より具体的に言えば、全体と部分は繋がっているので全体の構造が理解できれば、部分から対象の全体、そして本質が見て取れるのです。ただし、これは全体への深い理解を前提とする、熟達者の境地でしょう。ゆえに、増田の考えは、全体の理解がどのようなものかが最も重要だということです。ゆえに、その全体に対する直観を調整して行きます。この全体を直観する、そのあり方が「センス」の正体だと、私は考えています。ただし、その指導には、指導する側にかなりの洞察力と目的意識が必要です。本道場では、通常の稽古や審査において、その部分をあえて指導しません。ごく一般的な技の指導のみ行います。そのような部分は奥伝に当たる部分で、一般の修行者には誤解を与える可能性が高いと考えられるからです。

 2)「運足(FOOTWORK)」とは、足の運び方です。足の運び方が的確にできなければ、相手との関係において、「制位」を目指した、間合いの操作、位置取り、攻撃ができません。ゆえにその点を理解しているか観て行きます。

 3)「姿勢・構え(POSTURE)」とは、自己の技を作る際の身体全体の態勢が強い技を作るために万全でなければなりません。また、身体の態勢のみならず、心の態勢(気合いの入った)が十分でなければ、強い技を作れないのです。ゆえに、基本技の稽古では、身体の使い方のみならず、心を充実させ(気合いを入れて)技を作る心構えが重要なのです。その点を理解しているかを観て行きます。なお、空手の稽古では、子供も大人もお腹から発声し、大きな気合い(声)を出すのは、そのような意味に繋がっています。

4)「調和(HARMONY)」とは、運足が的確で姿勢・構えが充分であれば、自己の内部と外部において、のみならず相手との関係性において「調和(HARMONY)」状態にあると考えられます。例えば、自己の心身の全てが協働して、技を作ることが理想です。また、相手の技と協働して作る技が増田式空手メソッドの目指す技です。 しかしながら、私も含め、ほとんどの人に、独りよがりな技の駆使が見られます。同時に独りよがりな「運足」や「姿勢・構え」「動き」が見られます。はっきり申し上げれば、私を含め全ての人が独りよがりです。ゆえに、さらに高いレベルで自己の技を眺める時、「調和(HARMONY)」という概念が必要です。 まずは、偏った部分に力が入りすぎていないか、必要なところ、必要な時だけ力を入れているか、不必要な部分、不必要な時には力を抜いているか(脱力)ということを理解しているかを観て行きます。

 5)「動き(MOTION)」とは、技を作る、脚部、胴体部、腕部など、全肢体の動きが繋がり、連動しているかどうか。そして、最終的な技の形と目的を達成するに理にかなっているかを観て行きます。(増田)

 

備考

  • 一眼二足三胆四体