TSベーシックスタイル(TSアルファ方式)による組手指導

 2019年9月13日、研究科で行なったTSベーシックスタイルの組手稽古の風景です。審判を置いていませんが参考にしてください。

 増田以外の人の組手は参考になりません。なぜなら、TS方式の技有りの5原則(正確性、スピード、タイミング、威力、気合い)が意識されていません。あるものは気合いを忘れ、あるものは防御だけ、攻撃だけにとらわれています。

 TS方式の眼目は、技術と試し合いに対する意識を高めることなのです。一方、増田の組手も十分ではありません。反省点が多々あります。そのように、明確な意識を有するからこそ、自己の組手組手スタイルや基本などを反省し、それを修正することができるのです。そして、上達することができます。こんな簡単なことが多くの極真空手家に認識されていません。IBMA極真会館の道場生は、空手を自分を磨く修行だと考えてください。それでなければ、増田と空手道は共にできません。

なお、IBMA極真会館増田道場では、TSベーシックスタイルで一定の技術と技能を身につけ、試合実績のある者しか、極真スタイルの組手を許可しません。黒帯はそれを念頭に置いて稽古指導をしてください。

 

 

映像の解説と補足

 

1)2019/9/13研究科におけるTS方式ベーシックスタイルの組手稽古について

 歯に衣着せぬ言い方をすれば、「ダメだ!こんな組手稽古は、どれだけ行っても上手くならないだろう。まずは、 TS方式の「正確性」「スピード」「タイミング」「威力」「気合い」の5原則がなぜ設定されているか、研究科生は考えて欲しい。

 私は、こんな稽古を二度としたくない。もっと丁寧な組手稽古をしたいのだ。それには、私以外のものが組手修練の哲学を共有しなければならないだろう。嫌味で言えば、今回、極真スタイルに近いイメージで組手を行なってみて、とあらかじめ言っておいた。それは極真スタイルの組手とTSアルファスタイルの組手が融合できるかの実験、皆にそれが体得されてきたいるかの実験をしたいからだった。

 どうも極真スタイルの組手法は、何と無く組手をやったような気になるようだ。それが稽古生の満足感、充実感につながることもあるだろう。それが極真空手が普及した原因の一つだろう。誰でも組手ができる。やったような気になる。しかし、私自身は、こんな組手修練をどれだけ行なっても、武術家として必要な技術(テクニック)と技能(スキル)が身につかないと思っている。

 断っておくが、極真スタイルは打撃系武術の基礎練習としては良い面もある。しかし、私がそうであったように、なるべく早い段階で、顔面突きありの組手を意識しなければ、致命的な認識と癖を身につけてしまう。かくいう私も同様である。ゆえにこれから、本当の空手を学ぶ者には、より良いメソッドを。そして、すでに長く極真空手を修練していて、悪い癖がある者には、それを修正する修練メソッドを確立したい。

 さらに言えば、私の道場では、TS方式ベーシックスタイルは極真スタイルとともに無くしはしないが、これからはTSベータスタイル(ヒッティング)で顔面突きありの技術と技能を極めたい。時すでに遅しかもしれないが、若い時から最低限の研究と経験はある。あとは修練メソッドを確立することが、私のしたいこと。そして出来うる最善のことだと考えている。

 

2)ヒッティング(TSベータ方式)との比較

 TSベータスタイルとの比較はデジタル空手武道通信第32号を参照のこと。特に「構え」の違いが顕著である。さらに、技の「正確性」「スピード」「タイミング」「威力」「気合い」等の意識が異なるのがわかる。

デジタル空手武道通信第32号

 

3)今後のTS方式ベーシックスタイルの課題

相手が前に出てきて圧力を加えてきた場合や接近しての連続攻撃を仕掛けてきた時の戦い方をどうするかである。断っておくがTSアルファ方式の競技規程では、3本以上の突き技を相手に当てれば反則行為となる。ただし、相手の身体に当てずに囮突き(フェイント)として用いた突き技は1本としてカウントしない。あくまで相手の身体に当たった突きを対象とする。そのような競技規程を理解できれば、接近戦での突きによる連続攻撃はあり得ない攻撃ではないのだ。つまり、TSアルファ方式の組手法は、ルールを理解し、技術を高め、技能を開発すれば、良い意味で、極真スタイルの組手法に勝るとも劣らない激しい組手となる。ただし、その激しさによる人体へのダメージを防具によって弱め、その代わりに技術と技能に対する認識のトリガーとして、「技有り」の判定法を規程している(競技規程を参照のこと)。

 IBMA極真会館の有段者は、数多くのTS方式の組手修練を行い、技術を高め、技能を開発して欲しい。今秋には上級、夕男子対象の合宿を企画している。その合宿の中で、多くの反復練習を行い、組手の技能(スキル)を体得してもらいたいと考えている。合宿では昇段審査も企画している(組手型と組手のみ)。組手の技能(スキル)を有してこそ黒帯である。合宿において組手審査、組手型審査に合格すれば、あとは学科試験と伝統型審査のみとなる。

 

4)合宿修練のキーワードは以下

「相手の攻撃を一撃ももらわず、一撃を決める」

 「一撃を追い求め 心撃を極める」