ヒッティング方式の組手法の理論がよくわかる、稽古映像を制作しました。デジタル空手武道教本と併用して学習してください。まずは修錬用語を理解することが重要です。

はじめに

 修錬用語は拓心武術・理論の要素です。それらは増田の経験と研鑽、研究から生まれた考え方・思想が核となっています。拓心武術では考え方・理論を重視します。技能と理論は前進するための両輪のようなものだからです。また、その理論が絶対的に正しいかどうかは分かりません。しかしながら、それを批判するにしても了解するにしても、それをある程度、理解することができなければ、上達は困難だと思います。(増田)

◎以下の稽古法は、今後、指導員に伝え、上級者向けの稽古等で行っていきます。

ただし、初心者は極真空手の基本伝統技と拓心武術の基本組手技を正確に習得することが先です(黒帯も自分の基本を見直してください)。

 

1手決め、2手決め、3手決め稽古の映像

 

映像の解説 

 

 この稽古法は、取り(技を決める技能を磨く側)のみならず、受け(相手の仕掛けに応じ、攻撃する側)の技能も磨く。ゆえに一定レベル以上になるとパートナーの技術・技能レベルが高くないと、技術・技能の向上が止まる)。ゆえに私の道場では、自分のみならず相手(仲間)を上達させることを大事に考える。 さて、1手決め、2手決め、3手決め稽古において、私の感覚では1手決めが一番難しく、次に2手決めが難しい。そして三手決めが一番易しい。 極真会館増田道場の組手理論を理解している人にはわかっていると思うが、1手決め、2手決めは基本に他ならない。そして3手決めは応用である。しかしながら、拓心武術の思想では、3手決めの構造を真に理解しなければ、基本の本質を真に理解はできないと考える。だが、私以外、このことを理解する者はいない。

ヒッティング方式の組手法について〜ワンポイントレッスン

 

気合(発声)ついて

ヒッティング方式の組手法では、技ありを取るには技の精度と体重移動、そして気合(発声)がないと認められない。また、技の後から出す気合はアピールのようなもので、ヒッティングでは注意の対象となる。 すなわち、気合とは「照準を合わせて(ロックオン)して、発撃を行ったという証明証」のようなものと考えて良い。つまり、気合のない発撃はロックオンせずに当てたと判断するのだ(これは、老荘青少年及び熟達者も初心者も共に技を競い、創り上げるための仕組みの一環ではあるが)。

連撃とは

連撃とは連係技のことであるヒッティング方式の組手法では連打は3連打までとなっている(ただし突き3連打、蹴り技3連打と組み合わせれば連打は無限)。要するに究極の1撃を創出するためにヒッティング方式はあるので、無意味な連打は禁止としているのである。だが、有効な1撃を決めることができれば、相手は崩れていう可能性が高い。もし、相手を崩すことができれば、その機を捉えて、連続攻撃(連係技とは若干、意味は異なるが)で相手を追い詰め粉砕する。そのような戦術を拓心武術は想定している。だが、ヒッティング方式の組手では、修練目的を明確にするため、それを禁じ手としているだけである。

 

 

IBMA極真会館増田道場の門下生へ

 

 ヒッティング方式の組手法は稽古すればするだけ、上手くなる。 ただし、拓心武術の思想が理解できていなければ、大した上達はしないだろう。 一方、拓心武術の思想を理解できる者は、心身に拓心武術の構造の基礎ができているので、上達は早い。 私は毎月、試合に参加する者の上達を楽しみにしている。 残念なことは、私の身体は壊れかけていて、あまり一緒に稽古はできないということである。 だからこそ、より高いレベルの思想と修練体系を完成させたいと思っている。 それが完成すれば、私が上達に必要とした時間の半分、3分の1、否、10分の1ぐらいのスピードで技術・技能が習得できるかもしれない。同時に私のレベルを易々と超えるだろう。 しかし、私の構想がどのような闇(無意識)から生まれたかを知ることが一番重要だ、と私は考えている(こんなことは空手愛好者の除くことではないとは思うが…)。 現在、いつ身体が壊れるかわからないような状況で稽古している。そんな中で新たな構想が私のイメージにある。そのイメージを1日も早く、形にしたい。 最後に、誰しも歳をとっていく。だが、最後まで武道人としてあり続けようではないか。 拓心武術は対武器をも想定した護身術も含む。そしてヒッティング方式の組手法は、その修練の基礎となるものだ。私は、もっと空手を面白くする。 そして、みんなに仕合せと健康をもたらす、拓心武術を完成させる。

 

参考資料

 

機先を制する原則と3つの先(プラス先々の先)の実践 

1)「先を活かす」とは、自己の仕掛けの起りを相手に察知されないよう相手より早く、先をとり攻撃する事である。これを拓心武術では「仕掛けの先」とも呼ぶ。

2)「後の先を活かす」とは、相手の攻撃をいち早く察し(読み取り)、相手の攻撃に対し〈防御×攻撃〉によって先をとり攻撃することである。これを拓心武術では「応じの先」とも呼ぶ。

3)「為合いの先を活かす」とは、相手との攻防(試合・仕合い・為合い)の流れの中で先をとり(機先を制し)攻撃することである。これを拓心武術では「為合い(しあい)の先」とも呼ぶ。

先々の先について

 なお、「為合い(しあい)の先(せん)」とは、後で述べる「先々の先」を到達点としているので、「先々の先」と一体と考えて良い。だが、厳密に言えば、拓心武術の修練における「為合いの先」とは、相手との〈読み合い〉を意識し、それを制する攻撃法である。一方、拓心武術における「為合いの先」を包括する「先々の先を活かす」とは、相手の攻撃の「起こり」が見えないうちに、相手の気を察し(読み取り)、それを制するというものである。すなわち「先々の先を活かす」とは、無益な戦いを回避する道であり、武により自己を活かすのみならず、他を活かす道を知ることなのだ。さらに言えば、先々の先を活かすことは、組手修練の原則のみならず、自己完成のための原則である。

 

修練用語辞典