心を高め身体を拓く空手

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アルゼンチンを初めて訪問


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【アルゼンチンを初めて訪問】

 日本が本格的な冬を迎えようとしている中、私は真夏を迎えようとしているアルゼンチンを初めて訪問した。KWU-SENSHI(戦士)のリーダーの1人、フランシスコ・フリオ師範が企画した第一回アメリカン’ズカップに参加するためだった。実は、この大会に参加要請された時、私には若干の躊躇があった。その理由は、アルゼンチンを訪問するためには、飛行機を乗り継いで、2日近くもかかる。また、気候も逆である。また、61歳の私には更年期の障害がある。さらに若い頃の激しい修行により、身体のパーツが壊れている。つまり、期待に応えるだけの体力的な自信がなかったのだ。だが、私はこの第1回の大会がKWU-SENSHI(戦士)と言う空手団体の将来を占う大会だと直感した。故にKWU-SENSHI(戦士)の一員として参加しないわけにはいかなかった。また、私は今回の出張のために体力強化や語学、企画書の作成など、様々な準備をした。少し欲張りすぎ、無理をしすぎたのが良くなかったのか、アルゼンチンでは、体調が良くなかった。毎日、風邪か乾燥のためか、自律神経の調整不良なのかは不明だが、咳が出た。また飛行機でずっと本を読んでいて、あまり寝なかった。熱はなく、大した咳ではなかったが、私が家内に体調が悪いとメールで弱音を吐いた。すると、すぐに娘の晴着姿の写真を送ってくれた。私は
、少し大袈裟だが、「ここで死ぬわけにはいかない」と気力を振り絞った。

【大きな希望を得た】

 さて、体調は良くなかったが、第1回 アメリカン’ズカップは成功したと思う。そして、私はアルゼンチンを訪問して、多くの収穫を得た。それはフリオ師範とフェイトーザ師範、また、アルゼンチンのエマヌエル師範、など多くの人達たちと親しくなれたこと。また、フリオ師範が私の構想するプロジェクトに理解を示してくれたことがあったからだ。
 正直に言えば、これまで私の構想は、日本人にはあまり好意的に受け取られなかった。多分、私のプレゼンが拙かったからだろう。だが、フリオ師範は数枚の論文で、大体を理解し、大変好意的に受け入れてくれた。もちろん、論文だけでは不十分である。今回、その不足点を補った。さらに、より多くの人達に理解してもらい、構想を実現するためには、早急に模型(モデル)が必要だと考えている。

 私は、まだモデル(模型)がない中、つまり、まだ目にしていないのに、フリオ師範が直感的に理解を示し、受け入れてくれたことに大きな意味がある、と考えている。私は空手に対する可能性に対し前向きな人間がチームメイトにいることに対し大変心強く思っている。そして、私はフリオ師範の存在によって、大きな希望を得た。

【アルゼンチンという国は】

 ここで少し脱線するが、私にとってアルゼンチンという国は、1度は訪れたい国のひとつであった。その理由は、かねてから私はアルゼンチンタンゴに憧れていたからだ。照れくさいが、私はアルゼンチンタンゴを踊れるようになりたいと思っている。また、縁があり、私はアルゼンチンフォルクローレの日本人ギタリストのファンクラブに所属している。

 関係者の自宅で、ディナーのもてなしを受け時、私は”アルゼンチンタンゴ”と”メッシ”のファンだと伝えた。そして、僭越にもアルゼンチンタンゴの思想を語った。
 私が語ったのは、タンゴの思想は”失敗を恐れずに好きなように踊れば良い””タンゴには失敗などない””恐れずにただ踊れば良い”、そして”人生もダンスと同じだ”ということだった。さらに私は拙い英語で、このアルゼンチンタンゴの思想はアルゼンチン人の思想と同じだと思うが、「正しい?」と尋ねた。すると、出席していたドクターが「正しい」と頷いた。これ以上は語らなかったが、本来、アルゼンチン人は自己表現を大事にし、かつ自由を愛する国民なのだろう、と私は想像した。

【まずは一歩を踏み出す】

 話を大会のことに戻すと、今回の大会はまだ小さなものだった。だが、内容は、将来を期待できるものだと思う。そして、まずは一歩を踏み出す、それが重要だと思う。ただし、明確な方向性を有しての話だが…。私たちKWU-SENSHIチームには、その部分がまだ不十分だ。
 そんな中、フリオ師範は明確な方向性を持っている。そして、この大会で、フリオ師範とアルゼンチンのエマヌエル師範及び南米諸国の指導者たちの結束力が強まったと思う。
 
 また、大会後に行われたセミナーは重要だったと思う。みんなが集まる機会はそう多くない。そんな貴重な機会に、フリオ師範は様々な工夫を凝らしていた。個人的には、フリオ師範の盟友である、フェイトーザ師範の空手指導がよかったと感じた。日本でセミナーを開けば、多くの人が興味を持つと思う。また、私は彼のことを極真空手が産みだした宝石だ、と思っている。それほど、彼の蹴り技は芸術的だ。そのフェイトーザ師範とも、今回、色々と意見交換をした。彼は私が伝えた、「私達は、絶えず創造すべきだ」という考え方に、賛同してくれた。彼は知的で、素晴らしい人物だと思う。また、ブラジルの森本師範、中原師範、テシーラ先生とも交流でき、大変楽しかった。

 以上は、全てフリオ師範の指導力の賜物だと思う。私は彼の人間性の素晴らしさを再認識した。また、私は彼のプロデュース能力に感服した。情けないのだが、私はすでに年老いて体力的な自信は無い。
 
 他方、フリオ師範は様々な経験を有している。また体力もある。私は、諦めかけていた空手に新しいリーダー達が登場したと、今、大きな期待を抱いている。同時に、自身の体力、そして寿命が尽きないことを祈っている。

【アルゼンチンという国について】

 ここで、私が訪問したアルゼンチンの街とその国について思うことを少しだけ書いておきたい。大会が主催されたのは、コルドバと言う街だ。
 この街は、アルゼンチンで、二番目のレベルを誇るコルドバ大学を擁している。また多くの大学を抱える学生の都市だった。週末の街は、実に多くの若者で賑わっていた。空手武道を広めるには、大きな可能性を秘めた地域である。

 日中、そして週末となれば、夜遅くまで若い人達が街に溢れかえっていた。私はその若者たちを見て、自分の息子や娘のことを思い出した。そして若者たちの将来の人生が豊かで幸運に恵まれることを祈らずにいられなかった。
 今回、アルゼンチンは大統領選挙の直後だったようだ。アルゼンチンの次期大統領は、自由至上主義者、リバタリアンのミレイ氏である。テレビはミレイ氏の話で盛り上がっていた。だが、大統領選挙の実情は、アルゼンチン政府の経済政策の失敗に対する「怒り」のような「熱」を利用した、ミレイ氏の当選だったようだ。サイトにはアルゼンチンのインフレ率は140〜150%にもなると書いてあった。だが、コロナパンデミックの影響もあっただろう。選挙戦についてはこれ以上わからない。

 ただし、ミレイ氏は就任後、アメリカとの交流を促進し、これまでの中国、ブラジルやブリック圏の国々との交流をから手を引くと言っていることに対してだけ思うことがある。大変余計なことだとはわかっている。だが、世界で最も発展している国のアメリカと同盟関係を結ぶのは良いことだとして、ロシアを中心とするブリックス(BRICS)の国々との交流をしないと決めるのは良くないと考えている。
 その理由は、何についても偏りすぎることはよくないと思うからだ。また、自由至上主義だけでは行き詰まると思う。また、ミレイ氏が批判していた共産主義など、すでに行き詰まっていて対立軸などではないと思うからだ。
 要するに、現在の対立軸、自由主義国家を目指す人達の脅威は、共産主義ではない。真の脅威は、むしろ資本主義や自由主義国家の内部に潜んでいる何かだ、と私は思う。もちろん、ミレイ氏の発言には、政治的な駆け引きの部分が多々あったに違いない。
 さらに余計なことを述べれば、現在、自由主義国家に対立しているライバルは社会民主主義国家だと考えている。そして自由主義国家陣営は社会民主主義国家の進展を望ましくないと考えているのではないだろうか。
 私は経済学者のミレイ氏は、まずは自由主義国家を志向することによって、まずは市民、民間の活力を活性化させようと考えているのだと思う。また、社会主義国家にありがちな、全体主義国家や封建主義的に酷似する権力層の固定化や権力層の腐敗による、市民のモチベーションの低下を改善したいと考えているのかもしれない、と思っている。
 いうまでもなく、息が詰まるような行き過ぎた全体主義や封建主義が醸成する、権力層の固定化は良くないと思っている。しかしながら、日本の封建主義時代を考察して思う事がある。それは、社会主義、封建主義、全体主義などといっても、決して一種、一様ではないと言うことである。また、何々主義と言っても、宗教観とも密接に関係するので、地域によって一様ではない。誤解を恐れずに言えば、私は近未来には宗教観を超える何かを創出することがベストだ、と私は直感している。
 また、かなり大まかに話を進めると、私は社会主義、封建主義の良いところと自由主義、民主主義の良いところを共存させ、バランスをとった社会が良いのではないかと想像している。そして、より創造的な新しい社会のあり方を目指すことを提言したい。私は、その提言に対する一種の社会実験として、「武道とスポーツの共存」を考えている。そんなことを言えば、多くの人の脳裏に?マークが浮かび、増田の妄想だと笑うに違いない。

【個人の可能性を引き出すには組織、国家のあり方が重要】

 さらに誤解を恐れずに言えば、社会主義、封建主義と自由主義、民主主義を共存させている例として、プーチン大統領率いるロシアという国を見ている。また、私は我が国にロシアという国家との関係を考え直すことを提案したい。多分、国家といえば、誤解は必至にちがいない。そう言わすに、個人間の交流の継続を提案したい、といえば無難かもしれないが…。
 だが、私は個人の可能性を引き出すには組織、国家のあり方が重要だと考えている。そして国際社会の可能性を引き出すには、国家間の関係性が重要だと思う。
 平たく言えば、私の望んでいるのは、アメリカとロシアが仲良くなることだ。今、そんなことを言えば、頭がおかしいと思われるかもしれない。また簡単ではないだろう。しかし、できないことではない。問題は、できないと決めつけている人達の背景にある政治思想の貧困にある。
 私は、プーチン大統領は日本武道の良き理解者だと思っている。また、その政治思想は武道的だと言っても良い。ゆえに、日本国も関係性がよくなるようにさらなる努力を続けるべきだと思う。もちろん、アメリカとの同盟関係は大変重要なことはいうまでもない。私もアメリカ文化が大好きだ。 
 現在、ロシアとウクライナ間の戦争の犠牲者の人達にとって、相手国は許しがたい国だとは思う。その国家を認めるなどできないに違いない。しかしながら、このまま両国が永遠に憎み続けるようになってはならない、と私は思う。また、そうなることが想定されるからこそ、そのことを中和する、新しい哲学や行動を政治家のみならず、市民が創造しなければならないと考えている。
 まずは、1日も早く停戦に向けて政治家が動くこと。また世界中の市民の思いが一つになるべきだと考えている。また、世界から日本が本当に尊敬され、重要な国だと認識されるためにも、我が国の政治家の方々にはアメリカやEUの思惑に流されることなく、真に日本的な精神を発揮して欲しい。そして世界平和に貢献してほしいと願っている。
 以上のような考えは、政治経済に無知な者の戯言だとして、一瞥もされないとは思う。それでも、私は日本の将来のためにも声を挙げたい。そして政治家の方々には、是非とも全方位外交をお願いしたい。

【誠実に〜断固として〜勇敢に〜】

 蛇足ながら、私は日本と外国に日本武道と日本文化を日本のみならず、世界の国々に伝える者を育成する学部を擁する大学を作りたい。または、既存の大学に、そんな学部を創設したい。そんな妄想じみたことを今考えている。そのことに一番協力してくれるのはロシアという国かもしれないとも思っている。
 補足すれば、私は軍国主義が台頭した時代に利用された武道精神や武士道精神は、本当のものではないと思っている。本当の武道精神や武士道とは、一般人には使ってはならない言葉だが「殺すか、殺されるか」の意識が中心にある。だからこそ、本当の武人は戦争を好ましいものとはしないはずである。もちろん、戦争時の働きの中に武人の本懐があるかもしれないとも思う。しかし、本当の武人はその志を胸に秘め、市民の安心立命の礎たらんと思う者ではないだろうか。そして、私が考える本当の悪とは、人の命を軽く考えている者のことだ。その本当の悪とは誰か?政治家か、商人か、それとも…。
 私が考える武道精神とは、常日頃から、有事に備える心構えを持ち、「誠実に」、かつ「真剣に」暮らすことである。そして、国家が困難に瀕している際、「断固として」、かつ「勇敢に」困難に立ち向かうという精神なのだ。これはKWU-SENSHIという団体の理念でもある。 
 私は、失敗とも思える政策がなかったとは言えないが、我が国の歴史に誇りを持っている。そして、日本国がより良く存続して欲しい。
そのためには、政治家に今一度、国民教育のあり方を見直していただきたい、と思っている。同時に国民教育に貢献する武道、そして新しスポーツを創り上げたい。

(30時間近くの飛行時間、乗り換えも含めて40時間位以上かかった。フライトの待ち時間がもったいないので、思いつくことをメモしてみた)

◎2023年11月30日14:00    一部修正
◎2023年11月30日21:40  一部修正
◎2023年12月1日     加筆
◎入力ミス ブリック→ブリックス(BRICS)

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