肘受け
肘受けとは、相手の攻撃を肘で受ける防御技のこと。肘受けには肘の用い方によって「内肘受け」「外肘受け」「肘受け」「肘落とし受け」「肘合わせ受け」などの種類がある。 「内肘受け」は主に直突きや上段前蹴りの防御に用います。「外肘受けは主に鍵突きや回し蹴りの防御に用います。
- 「肘内受け」のポイントは、上段直突きなら、相手の腕に下方から肘を当てがうようにして受けます。また、上段前蹴りに対する「肘内受け」も同様に、相手の前蹴りを脚の下に肘を下方から当てがうようにして防御します。技の詳細は実技ページをご覧ください。
- 「肘外受け」のポイントは、上段鍵突きなら、相手の鍵突きを作る腕に対し、腕の内側から、自分の方から見て、肘を外側に向けるようにして当てがい、防御します。肘の当て方は、相手との間合いによって異なりますが、相手の手首付近の小手に肘を当てます。技の詳細は実技ページをご覧ください。
- 肘受けの使い方の一つとして相手の拳や手首に直接肘をあてがい、相手の打突部位を粉砕するような使い方もあります。その場合の肘受けは、「肘打ち」と同じになります。
拓心武道理論より
肘受けと見切りについて
肘受けは、防御と攻撃が一体となるような使い方があります。また、肘受けの作り方(動作)は、そのまま肘打ちの作り方(動作)にもなります。つまり、攻撃と防御の両方に使える「肘(肘受け)」を普段から使うことは、肘打ちの使用に普段から慣れると言うことにもなります。また、極真会館増田道場では組手稽古において、「すね受け」や「肘受け」などを基本とするのは、「すね受け」や「肘受け」が受けのための受けではなく、受け技がそのまま攻撃にもなるように用いることを理解しやすいからです。また、防御技を巧みに用い、相手の攻撃を防御する修練は、「相手の動きを見切る」ことにつながるからです。さらに相手の動きを見切ることを追求すると、より早い対応が可能となるからです。そして、より早い対応を追求すると、無駄な対立、衝突を避けることができるようになるからです。
「応じ」という概念
さて、極真会館増田道場では、「後の先」から「先々の先」への昇華を目標としています。また、極真会館増田道場の組手防御技は、相手の攻撃能力を無力化し自方を優位に導くことを目指しています。そのような防御を行うためには、相手の攻撃を予測することができなければなりません。その能力を養成することが重要なのです。それは条件反射を利用し相手の攻撃を避けるのみならず、相手の技を予測する能力、そして相手の技によりよく対応する能力を含んでいます。
その相手の技によりよく対応する能力には、相手の攻撃をより長く見続ける能力も含まれます。極真会館増田道場では、よりよく対応する能力を養成するために、攻撃技と防御技の使い方を別々には考えません。それらを一体的に捉えます。拓心武道メソッドでは、「応じ」という概念でそのことを伝えます。
その「応じ」の概念で想定している自他一体の感覚が「予測」「見切り」「対応」をつなぐ感覚であり、それらの核心です。武道に習熟していないうちは、反射神経に優れている方が有利かもしれません。しかし、その反射神経も「応じ」意識を含む、正しい武道修練によって発達していきます。結果、自分には反射神経が鈍いと思っていた人にもより高次の反射神経が身についていくのです。そのことが武道を修練する意義の一つだと思います。